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【新・関西笑談】みんぱくのアンデス博士(5)国立民族学博物館教授 関雄二さん(産経新聞)

 ■テーマは現代にどう活用するか 現地に遺跡の素晴らしさを示したい。

 -- 何千年も前の遺跡を、現代の人々の生活のために「活用」する。これが、先生の大きな研究テーマの一つということですが

 関 はい。これは痛い失敗がきかっけになっています。

 --村長候補に推されるような先生でも失敗があるのですか

 関 ええ。昭和54年からワカロマという村で発掘をしたとき、発掘が終わった後の遺跡が公園になったために土地を追われた農民がいたんです。「あなたたちさえこなければ」と恨まれました。

 --辛い言葉ですね

 関 自分は地球の裏側から金をもらってきて、論文を書いて給料をもらって暮らせる。一方で地域住民は住む場所を失って苦しんでいる。これでよいのかと。それから遺跡の保存や活用を考えるようになりました。

 --現状はどうなのでしょう

 関 ペルーには犬も歩けば遺跡にあたるほどたくさんの遺跡がむき出しになっていますが、どんどん破壊されています。エルニーニョ現象による大雨など気候変動も一因ですが、貧しい農民たちが現金収入を得るために遺跡のレンガを焼き直して売ったり、盗掘したりしています。

 --盗掘はなかなかなくなりませんか

 関 盗掘品の売買ルートを調べる調査をしたこともあります。けっこう危険なので、タナカと偽名を使って。仲買人の家にいって何千ドル、何万ドルのものをふっかけられて面白かったのですが、いざ帰るときになって一緒にいた現地の運転手が「そろそろ行きましょうか関先生」って。机の下で思わず足けって心の中で「タナカだよタナカ」って(笑)。

 --無事でよかったです(笑)

 関 現金収入の問題だけはでなく、キリスト布教以前の古代遺跡を否定的にみる背景もあります。遺跡は、たたりがある怖いものだと思われているんですね。私が墓を掘っているのをみて「あの日本人死ぬよ」とかいう人もなかにはいるわけで。風邪でもひいて寝込もうものなら「ほれみろ」と。彼らにしてみれば、自分を病気にするような遺跡をなぜ守る必要があるか分からないんです。

 --いろいろな要因がからんでいるのですね

 関 こういったことを知らずに、法律だから大事にしろといってもだめ。そうではなくて、みんなで遺跡を守ればこんなメリットがあるということを示したいんです。

 --うまくいった例はありますか

 関 ワカロマの次に発掘したクントゥルワシという遺跡では、農民のNPOが管理する博物館ができました。交代でガイドや掃除をして、講演に呼ばれて発掘の様子や博物館の運営方法をスライドで説明したりする。これまで貧しくて軽蔑(けいべつ)されてきたのが、拍手をあびてお金までもらえる。こうなると遺跡の素晴らしさも理解するし、どんどん遺跡を守るようになります。

 --パコパンパ村はどうなるのでしょう

 関 彼らも博物館の設立に燃えています。今年は、クントゥルワシの人たちに講演に来てもらおうと思っています。僕は神殿が生きていた紀元前の時代、双方のリーダーは直接面識があったと確信しているんです。もう一度、交流があってもいいなあと。

 --楽しみですね

 関 博物館はお金も時間もかかるので大変なんですけどね。でもまあ、遺跡は1つ掘ると10年かかる。どのみち定年までつきあうことになるので、現地に還元できる方法をゆっくり考えます。墓が出た後、妻に「退職金がなくなりそう」って電話したんです。「それは困るわ」って。当然ですよね。=おわり(聞き手 杉村奈々子)

                  ◇

 次回はサントリーチーフブレンダーの輿水精一さんです。

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